奄美を知っていますか?
台湾島の見える与那国島から黒潮に沿って海をゆけば、波照間島、石垣島などの八重山諸島を過ぎ、ついで宮古島、ややあって沖縄島に着きます。そしてそのまま沖縄島を北に進むと、次に与論島が見えます。この、与論島から島づたいに北上して、奄美大島、喜界島までが、奄美です。 ここまで来て黒潮は、太平洋に流れ込みますが、その黒潮の大河を渡ると屋久島が見えるでしょう。
このように奄美は琉球弧の北部に位置しています。しかし同じ珊瑚礁ベルトのなかにありながら、奄美と沖縄は似て非なる歴史を歩んできました。しかもお隣りであるにもかかわらず、両者をめぐる言説は「饒舌な沖縄と沈黙の奄美」というほどに対極的です。
どうしてそうなったのか。その知られざる奄美の謎解きが本書のモチーフになっています。
折りしも奄美にとって、2009年は皆既日食。しかし、日食の後姿を現すのは太陽(てぃだ)だけでなく、奄美の地理と歴史も姿を現してほしい。本書にはそんな願いが込められています。
台湾島の見える与那国島から黒潮に沿って海をゆけば、波照間島、石垣島などの八重山諸島を過ぎ、ついで宮古島、ややあって沖縄島に着きます。そしてそのまま沖縄島を北に進むと、次に与論島が見えます。この、与論島から島づたいに北上して、奄美大島、喜界島までが、奄美です。 ここまで来て黒潮は、太平洋に流れ込みますが、その黒潮の大河を渡ると屋久島が見えるでしょう。
このように奄美は琉球弧の北部に位置しています。しかし同じ珊瑚礁ベルトのなかにありながら、奄美と沖縄は似て非なる歴史を歩んできました。しかもお隣りであるにもかかわらず、両者をめぐる言説は「饒舌な沖縄と沈黙の奄美」というほどに対極的です。
どうしてそうなったのか。その知られざる奄美の謎解きが本書のモチーフになっています。
折りしも奄美にとって、2009年は皆既日食。しかし、日食の後姿を現すのは太陽(てぃだ)だけでなく、奄美の地理と歴史も姿を現してほしい。本書にはそんな願いが込められています。
目次
第一章 二重の疎外―奄美は琉球ではない、大和でもない
- 四百年の失語
- 一六〇九年。失語の起点
- 琉球ではない
- 大和ではない
- 二重の疎外―奄美は琉球ではない、大和でもない
- 琉球にもなれ、大和にもなれ
- 二重の疎外とその隠蔽の核心
- 屈服の論理
- コトの収奪とモノの収奪
第二章 黒糖収奪とは何か―空っぽなモノの絶対化と食糧自給力の収奪
- シュガーロードは琉球発
- 反復する定式買入と惣買入
- 黒糖の硬さと甘さは珊瑚が決め手
- 空っぽな共同体と空っぽなモノ
- 食糧自給力の収奪
- 重層化する搾取
- 遊びの追放
- 直訴・脱島・一揆
- 二極化した奄美。家人と衆達
第三章 なぜ、薩摩は奄美を直接支配したのか
- 亜熱帯自然の包容力
- なぜ、薩摩は琉球を侵略したのか
- 沖永良部の闘い方
- 大和化せよ
- なぜ、二重の疎外に「奄美」で抗えなかったのか
- 奄美は植民地だった
- 近代化のために奄美がしたこと
第四章 近代化三幕―二重の疎外の顕在化と抵抗
- 二重の疎外の顕在化
- 奄美近代化の第一幕と第一声―大島商社と丸田南里
- 二つの西郷
- 近代化の第二幕―南島興産・県令三九号・三方法運動
- 近代化の第三幕1―大島経済
- 近代化の第三幕2―カトリック
- 強者の論理
- 無限連鎖の差異化でもなく、なし崩し的同一化でもなく
第五章 日本人になる―二重の疎外からの脱出
- 日本人になる―二重の疎外からの脱出
- 自失としての復帰
- 陳情嘆願書の精神的位相
- 敗戦を通過していない
- 生きるための復帰―「食べるもの、着るものの夢」
- 二重の疎外の瞬間凍結
- 「大島」解体論
- スイカ畑事件とジョージさんのトラック
第六章 奄美とは何か―秘する花のように
- 奄美とは何か
- 奄美は琉球である
- 奄振とは植民地補償である
- 思考を奪回する
- 薩摩とは何か
- 日本と沖縄の戦いでは、沖縄に支援せよ
- つながりの回復としての沖縄復帰
- ケンムン=キジムナー
第七章 二重の疎外の克服へ
- 植民地を生きて―相対化・ただの人・道之島
- 空虚という方法―奄美映画としての『めがね』
- 「奄美」づくり
- アマミノクロウサギにチャンスを
- シマ/島が主役!奄美です
- 「ヤポネシア」発祥の地
- 元ちとせ―還るという課題
- ◆書 名
- 『奄美自立論。四百年の失語を越えて』
- ◆著 者
- 喜山 荘一
- ◆出版社
- 南方新社
- ◆定 価
- 2,000円(税抜き)
- ◆発 行
- 2009年4月9日
- ◆著者プロフィール
- 喜山荘一(きやまそういち)
1963年、与論島生まれ。東京工業大学工学部卒業。マーケター。
著書に、『図解Eメールマーケティング実践講座』(2000年、インプレス)、『一億総マーケター時代の聞く技術』(2005年、阪急コミュニケーションズ)、『ウェブコミ!』(2005年、ランダムハウス講談社)、『ビートルズ 二重の主旋律』(2005年、メタ・ブレーン)、『10年商品をつくるBMR』(2007年、ドゥ・ハウス)などがある。 - ◆ブログ
- 与論島クオリア